久しぶりに読書など

そ曲がりなので、秋の夜長ではなく、夜がどんどん短くなってきた今頃になって本を読み出したりするw
ずっと前に買ってあったんだけど、読まずに放置してた本を読んでみた。

迷宮 (集英社文庫)

迷宮 (集英社文庫)


ある殺人事件から明らかになっていく、ある青年の心の歪み。
しかしそれを「歪み」という簡単な言葉で片付けず、さらに深いところまで追求していく。
被害者との出会い、そしてストーカー行為に始まり、徐々にエスカレートしていき、最終的に殺してしまう。
なぜそうなったのか、どんな精神状態だったのか。
偏り、歪んだ「愛」の怖さ。
しかし孤独であるため、それが偏っていることも自覚できない。
いや、そもそも何が基準で「偏ってる」と言えるのか?
正しいとか間違ってるなんて単純に言えるのか?誰が決めるのか?
どこまでが正常で、どこからが異常なのか?普通って何?


幼少の頃からの、冷え切った家庭と、その中での親子関係。
支配的な父親と、隷属するだけの母親。
自分と同じ歯科医となり、病院を継いで欲しいと思っていた父親の期待に応えられなかったため、自信をなくし、一方では憤りを覚えている。
2浪して大学に入ったが、医大ではなく三流と言われる大学の経営学部。
父親からは再びなじられ、それ以降は、家庭内でも「いないもの」として扱われる。

そういった要素が複雑に絡み合って、いつしか青年の心が「ズレ」ていってしまう。


ストーカー殺人事件に興味を持った小説家が、事件と、その当事者達を追いかけていく。
青年の心の闇にある「真相」を明らかにして、それを題材に新作の小説を書いていこうとするのだが、実は・・・。


という内容^^
この本は、構成が面白くてね。
各章が「雑誌の記事」だったり「供述調書」だったりする。
主人公の小説家が、先輩小説家にだした手紙なども出てくる。
とにかく「誰かが書いたもの」が大量にでてくる。
いろいろな立場や見方(視点)で書かれたものを通して事件の真相に迫っていくんだけど、最後の最後で「えぇ!そういうことなの!?」となるw


読んだ人は、そのどんでん返しに至る直前に、いきなり精神世界みたいな場所でのやりとりに戸惑うと思う。
雑誌の記事や、警察での供述調書などの「現実的な物」を積み上げてリアリティをだしているのに、いきなり精神世界を旅しちゃう2人w
読み終わっても、しばらくは意味が分からないかもしれない。
オレもしばらくは「???」の状態だったし^^;


※ネタバレ注意!
小説家と青年が、事件現場や家を見て回る「精神世界」は、小説家の妄想っていうことだよね。
実は自身も精神を病んでいた小説家。
自身はそれに気付かないまま事件の真相を追っていた(つもりだった)が、実はすでに妄想という精神世界に迷い込んでいた。
それじゃあ、どこからが妄想で、どこまで現実なんだろう・・・。
精神を病んでいると思われた青年は、実は「病んでいるフリ」なのかも知れない、そして事件を追っていた小説家が実は病んでいたらしい。
その二人が関わった時、どこまでが、何が真実なのか、逆にどこから妄想なのか、何が本当なのかがボンヤリしてしまう。

物語の最初から読んできた「蓄積」が、急に脆く危ういものになってしまう。
終わり方は、本当にスッキリしないよw
「うわぁ、そういうことかぁ・・・」
「え・・・てことは、あれも?そういうこと?」
「んー、なんだかよく分からなくなってきた・・・」
ってなるw
登場人物のみならず、読者をも巻き込んで、人間の精神の脆さや偏り、思い込みの怖さを知らしめる。


モヤモヤした終わり方で気持ち悪いので、次はもう少し気軽に読めるものを・・・ということで、今は ↓ を読んでるよ^^


もうすぐ読み終わるから、今日、2巻を買ってくる。


それから、昨日ツタヤでフラフラしてたら気になる本があったので買ってみた。

殺人鬼フジコの衝動 限定版 【徳間文庫】

殺人鬼フジコの衝動 限定版 【徳間文庫】

かなり後味悪いらしい^^;
人間の心の汚い部分を嫌というほど見せられるんだってさ。
で、限定版は秋に出る予定の続編につながる「序章」が冊子になって付いてるの。
どれだけ「酷い」内容なのか興味が湧いて、買ってみたw

面白かったら秋の続編が楽しみになるね^^


最近の本事情は、だいたいこんな感じ^^