お手伝い

2人の子供を連れて病院に行った時のこと。

待合室にいると、若いママさんが1歳くらいの赤ちゃんを抱いて入ってきた。
この病院に来るのは初めてらしく、診察券を作る前に書類を書かされている。
住所、氏名、年齢、持病などなど、初めてのときに書くヤツね。
それから、熱を測ってください、と。
どうやら風邪らしい。

書類を書く間、赤ちゃんをソファに座らせておこうとするんだけど、そのくらいの歳の子が落ち着いて待てるわけがなく、どうしても動き回ってしまう。
書類は書かなきゃいけない、子供がソファから落ちないように見てなきゃいけない、他所様にイタズラしちゃいけない、熱も測らなきゃ・・・。
こうなると、本当に大変だよね。

たまたま近くに座ってたお爺ちゃんとオレとで、手を振ったり、変顔したりして子供の気を引いていると、その間に書類が書けたらしく、提出できた。

さて、こちらは診察も終わり、隣の薬局へ。
処方箋を出して待っていると、先程の若いママさんも診察を終えたらしく、薬局に入ってきた。
そして、この薬局も初めてらしく、また書類を書かされるハメに。

病院で顔を覚えたようで、子供がニコニコしながら手を伸ばしてきたので遊んでいたら、書類が書けたようで、提出。


病院と薬局でのオレの様子を、少し離れて見ていたうちの子供たちは、他所の子供にちょっかい出して遊んでると思ったらしく、小声で「なにやってんのwww」と。
でも、薬を貰って薬局から出るときに、その若いママさんが「スイマセン・・ありがとうございました」とお礼を言いに来てくれて、オレが「あ、いえいえ^^」と返すのを聞いて、子供たちは「え・・なんだったの?」と。

いやいや、ただ赤ちゃんと遊んでたわけじゃなく、お手伝いしてたんだよと。

子育てすれば分かるけど、新米パパママっていろいろ大変。
子供の具合が悪くなると、心配でオロオロしてしまう。
病院や薬局では初診時に書類を書いたりしなきゃいけない。
熱も測らなきゃいけない。
その間、子供はジッとしていてくれない。
周りにいる人たちに迷惑かけちゃいけない、ソファから落ちたら大変・・・。

そんな時に、周囲から手を差し伸べてもらえるのって、本当に助かる。

昔は、病院に行くと見ず知らずのお爺ちゃんお婆ちゃんが寄ってきて、声を掛けてくれることがよくあった。
「どうしたの〜?」「あらら、風邪ひいちゃったのか〜」なんてね。
書類を書いている間「いいよ、見ててあげるから書いちゃいな」って、抱っこしてくれたりして。

ところが今や、大人しくしない赤ちゃんとか、泣いている赤ちゃんを疎ましいと思う人も多い。
若い人から、お年寄りまで。
「うるさい!」とか「ジャマだ!」とか平気で言う。
(泣いてる子供を放置して何もしないとか、そういう親の方に問題がある場合も多々あるけどさw)

周囲に頼れない、周囲からの視線が厳しい中での子育てって、大変だよ?
精神的に追い詰められちゃう。
それじゃダメでしょ?と。


少子化問題云々なんてメンドクセェ事は言わないし、助け合いの精神でなんて良い人ぶったことも書きたくないけど、実際、自分も声を掛けて貰ったり、手助けしてもらった身だから、その「ありがたみ」はよく分かる。

たまたまその場にいただけで、どこの誰かも知らない赤の他人だし、何か得するわけでもない。
でも、「あぁ助かった」とか、「ちょっと人の役に立てた」とか、そういうのが日常の中に少しあると良いよね。


こういう事を、ちゃんと次の世代(子供達)にも伝えていかないとな〜って思ったわけですよ。

困ってる人に手を差し伸べるのって、ちょっと勇気が必要だし、難しい。
そもそも、人と人の関わりって大変だし、面倒。
実は、オレも苦手。
人見知りだし。

今回のことだって、冷めた見方をすれば「何の得もない」し「面倒なだけ」。
でも、あの若いママが「あの時は助かったな」と思ってくれたら、それで十分でしょ。
そして、今度はあのママが、同じように困ってる人に「大丈夫?」って声を掛けてくれたら良いよね。

うちの子供達も、覚えておいてくれたら良いな。
何も大袈裟なことをする必要はないけど、困っている人、大変そうな人がいたら、それに気付ける目と心を持って欲しい。